# 歌い手さんが一番大切にすべきなのは「録音前」です
歌ってみたを作るとき、一番重要なのはどこだと思いますか?
① 録音前 ② 実際の録音 ③ 録音後
正解は…
①「録音前」です。
もちろん実際の録音も大切です。
ただ、良い音源を作るためには、録音ボタンを押す前の事前準備や設定が一番重要だと僕は考えています。
実は、音源の完成度の大部分は「録音を始める前」にすでに決まっています。
録音前にやっておきたいこと
「録音前の準備」といっても、DAWを立ち上げてマイクを接続するだけではありません。
たとえば、
- 歌うための基礎的な身体作り
- 歌の練習をして、メロディやリズムを正しく覚える
- 歌詞カードにブレスや歌唱で必要なことを書き込む
- 完成形やMIXを想定して、歌構成を考える
- ハモリ・ダブル・合いの手など、必要になる歌素材を確認する
- マイクの位置や距離を適切にセッティングする
- DAWやオーディオインターフェースを正しく設定する
- 録音前に適切なGainへ調整する
など、録音を始める前にできることはたくさんあります。
そして、ここをどれだけ丁寧にできるかで、その後の録音のしやすさもMIX後の仕上がりも大きく変わります。
「上手く歌う」ための準備も録音前に
録音というと、
「何度も録って、一番上手く歌えたテイクを使えばいい」
と思われがちです。
でも、メロディやリズムが曖昧な状態で何十テイク録っても、同じところを何度も間違えたり、歌うたびにニュアンスが変わったりしてしまいます。
それよりも、録音する前にしっかり曲を覚えて、ある程度自然に歌える状態まで持っていく。
ブレスする場所や、語尾をどうするか、どこを強く歌うのかなども事前に考えておけば、録音中に迷うことも少なくなります。
録音は「練習する時間」ではなく、それまで練習してきたものを音源として残す時間。
このくらいに考えておくと、録音もかなりスムーズになると思います。
MIX後の完成形も少し考えておく
もう一つ大切なのが、完成したときにどんな歌にしたいのかを考えておくことです。
たとえば、
「サビはダブルを入れて厚くしたい」
「ここにはハモリを入れたい」
「この合いの手は複数人っぽくしたい」
など。
こうした歌構成は、基本的には録音前に決めておくものです。
MIX師は、送っていただいた素材を見ながら「どう聴かせるか」を考えることはできます。
でも、そもそも録音されていない素材を後から作ることはできません。
何を録るのかを決めるところまでが、録音前の大切な準備です。
録音環境の設定も「後から直せない」
そして、もう一つ重要なのが録音環境です。
マイクとの距離が近すぎたり遠すぎたり、Gainが大きすぎて音が割れていたり、逆に小さすぎたり。
こうした問題は、MIXである程度調整できるものもありますが、録音した後では完全には元に戻せないものもあります。
特に音割れなどは、後からMIXで綺麗に直すことが難しい代表例です。
だからこそ、
「とりあえず録って、後から何とかする」のではなく、「良い状態で録れるようにしてから録音する」
ことが大切です。
実際の録音は、無理なく数テイクでOK
ここまで準備ができていれば、実際の録音はそこまで複雑ではありません。
体力や集中力、モチベーションが保てる範囲で、無理なく数テイク録れば十分です。
何十テイクも録っていると、後半になるにつれて声が疲れてきたり、「もっと良くできるはず」と終わりが分からなくなったりすることもあります。
もし毎回ものすごい数のテイクが必要になるのであれば、
録音回数を増やす前に、録音前の準備で改善できるところがないか
一度確認してみてもいいかもしれません。
録音後は「余計なことをしない」ことも大切
そして録音が終わった後。
ここでは、MIXを依頼するのであれば、基本的に大きな調整は必要ありません。
必要なトラックを分かりやすく整理して、指定があれば頭出しをして書き出す。
基本的にはそれで大丈夫です。
特に、
- 音量を揃える
- タイミングを動かす
- エフェクトをかける
- 自分でピッチ補正する
といった「音を調整する作業」は、MIX師に任せた方が良い場合が多いです。
良くしようと思って行った調整が、逆にMIXの選択肢を減らしてしまうこともあります。
良い歌ってみたは「録音ボタンを押す前」から始まっています
歌ってみたというと、どうしても「録音を上手くやること」や「MIXで綺麗に仕上げること」に目が向きやすいと思います。
でも実際には、
練習する。 曲を覚える。 歌構成を考える。 必要な素材を確認する。 マイクを適切にセッティングする。 録音設定を確認する。
こうした録音前の準備が、その後のすべての土台になります。
何十回も録り直したり、「後からMIXで何とかしてもらおう」と考えるよりも、まずは録音ボタンを押す前の時間を少し丁寧に使ってみる。
それだけでも、録音はずっと楽になりますし、最終的な歌ってみたの完成度も変わってくると思います。
良い録音は、録音を始める前から始まっています。


